2026-04

第1巻:東征の神軍

第一巻『東征の神軍』 第九話 浪速の潮流

波が、狂っている。 吉備(きび)を発(た)った船団が、紀伊(きい)の山影を右手に見て、いよいよ浪速(なにわ)の海へと突き進んだその時、世界は一変した。 そこは、海ではなかった。 巨大な水の龍が、数千、数万と絡み合い、互いの尾を噛み合って悶(...
第1巻:東征の神軍

【第一章】天孫の旅立ち 第八話 東への渇望

海が、呻(うめ)いている。 吉備(きび)の高島宮(たかしまのみや)を発(た)った神軍の船団は、播磨(はりま)の灘(なだ)を抜け、いよいよ浪速(なにわ)の海へと差し掛かろうとしていた。 これまでの瀬戸の内海の、あの鏡のような凪(なぎ)はどこへ...
第1巻:東征の神軍

【第一章】天孫の旅立ち 第七話 吉備の高島宮

風が、赤く錆(さび)びていた。 安芸(あき)の多祁理宮(たけりのみや)を発(た)った神軍は、瀬戸の内海をさらに東へ進み、吉備(きび)の国に至った。 現在の岡山、高島宮(たかしまのみや)である。 この地を支配する匂いは、潮の香りでも、泥の臭気...